
CPAは成果1件の費用、CPOは注文1件の費用、ROASは広告費に対する売上の割合です。見ている対象が違うため、どれか1つだけで広告全体を評価することはできません。
3つの指標を計算式で整理する
| 指標 | 本記事での計算式 | 主に確認できること |
|---|---|---|
| CPA | 広告費÷設定した成果件数 | その成果を1件得る費用 |
| CPO | 広告費÷対象の注文件数 | 注文を1件得る費用 |
| ROAS | 広告に対応する売上÷広告費×100 | 広告費に対して生じた売上の割合(%) |
Google広告の平均CPAは、費用をコンバージョン数で割った値です。[1] 購入だけでなく、資料請求や会員登録を成果に設定する場合もあります。「CPA2,000円」と報告するときは、「資料請求CPA」のように成果名も付けましょう。
CPOは注文を対象にした指標ですが、受付注文なのか、キャンセルを除いた売上確定注文なのかで結果が変わります。購入CPAとCPOは、費用・対象注文・計測条件が同じなら一致します。
Google広告の「コンバージョン値÷費用」は、設定した価値を費用で割った値です。[2] 値が実際の売上なら売上ベースのROASとして読めますが、資料請求に仮の価値を付けている場合は、実売上の比率ではありません。[3] 管理画面の値が5なら、割合表示では500%です。
同じ広告費でも、成果の定義で数字が変わる
ここからは架空の例です。同じ期間の広告費が10万円、資料請求が100件、その対象者から購入が20件、対象売上が16万円だったとします。売上・費用は税抜で統一し、返品はない前提です。
| 指標 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 資料請求CPA | 10万円÷100件 | 1,000円 |
| CPO | 10万円÷20件 | 5,000円 |
| ROAS | 16万円÷10万円×100 | 160% |
資料請求CPAが1,000円でも、注文1件には5,000円かかっています。「成果が100件あった」を「顧客を100人獲得した」と言い換えることはできません。資料請求と購入を同じ成果欄に足し、CPAを計算すると、同じ人の途中行動と最終行動が混ざります。
ここで購入CPAを出すなら、購入だけを取り出します。資料請求の獲得効率と、その後の購入率を分けることで、入口と購入までのどちらに改善余地があるかを考えられます。
CPAが安い広告と、ROASが高い広告は一致しない
次も架空例で、成果はどちらも売上確定注文とします。
| 項目 | 広告A | 広告B |
|---|---|---|
| 広告費 | 10万円 | 10万円 |
| 注文件数 | 25件 | 20件 |
| 注文当たり売上 | 4,000円 | 8,000円 |
| 対象売上 | 10万円 | 16万円 |
| CPO | 4,000円 | 5,000円 |
| ROAS | 100% | 160% |
Aは注文を安く得ていますが、Bは注文単価が高いためROASが上回ります。同じ注文と売上の範囲なら、ROASは「注文当たり売上÷CPO×100」でも確かめられます。
ROAS100%は事業の損益分岐点ではありません。売上と広告費が同額という意味です。商品原価や配送費などが分からないため、Bが必ず儲かるとも言えません。
獲得費用の上限を決める段階では、売上から費用を引いた利益と回収期間を別途確認します。許容CPA・許容CPOの計算方法では、広告以外の費用と残したい額から上限を試算できます。
比較前にそろえる5つの条件
1. 成果地点
資料請求と購入、新規の初回注文と既存客の再注文を混ぜないようにします。広告の目的が違う場合は、同じランキングに並べるより、目的別に評価する方が実態を捉えられます。
2. 期間と日付基準
広告に接触した月と購入した月が異なることがあります。広告管理画面と受注台帳で、どの日付を基準に集計しているかを確認してください。直近の数字には、後から成果が加わる可能性もあります。
3. 成果の割り当て
広告クリック後の何日間を対象にするか、広告を見ただけの成果も含むかなど、条件が違えば件数も変わります。複数媒体が同じ購入を成果として計上する可能性があるため、媒体の注文数や売上を足しただけでは、会社全体の実績になりません。
4. 金額の範囲
税、送料、値引き、返金、代理店手数料をどのように扱うかを統一します。媒体費だけのCPAと、運用手数料込みのCPAは分けて表示しましょう。
5. 計測の状態
購入タグの重複、欠損、固定値のままの売上送信がないか確認します。数値が急変したときは、広告の内容だけでなく、計測設定の変更も調べます。
報告では「数字+定義」を残す
報告欄には、少なくとも「成果名」「期間と日付基準」「費用の範囲」「売上の範囲」「データ元」を添えてください。成果ゼロの場合のCPA・CPOは0円とせず、算出不可として広告費と件数を併記します。広告費ゼロのROASも割り算ができません。
また、月次CPAは日別CPAの単純平均ではなく、月間広告費を月間成果件数で割って求めます。ROASも対象売上の合計を広告費の合計で割ります。まず同じ条件で集計し、そのうえで件数・単価・売上・利益を確認することが、比較の出発点です。
次に確認すること
- 獲得単価の目標を決めたい:利益と回収期間から許容CPA・CPOを計算する。
- LPの改善案を比較したい:ABテスト結果の読み方で成果の数え方を確認し、無料のABテスト有意差チェッカーで実施済みテストを評価する。
有意差チェッカーはCVRの差を評価するもので、CPA・ROASの計算や利益の判定は行いません。
参考資料
確認日:2026年9月27日。数値例は説明用の架空データです。
